吉川英治『大岡越前』時代劇・大岡政談とのギャップに驚き!

今回は吉川英治著『大岡越前』の簡単な感想を書こうと思っています。

 

大岡越前は8代将軍徳川吉宗享保の改革の折に抜擢した江戸町奉行として知られる人物です。

 

火事防止のため、いろは四十七組と呼ばれるとび職中心の町火消を創設するとともに、病気の治療や食糧難にあえぐ貧困層救済のために小石川養生所の設置や青木昆陽を抜擢しサツマイモ普及に尽力しました。

 

こういった政治家の側面だけでなく、法を順守して公正な裁きを行ったことから庶民からの評判も高く名奉行と呼ばれました。

 

そしてそれはいつしか『大岡政談』という一種の美化された形で講談や歌舞伎で物語となり、近年まで時代劇や小説で描かれてきました。

 

長々と大岡忠相という人物について書いてきましたが、こっからが本題の吉川英治著『大岡越前』の感想!

 

吉川英治氏はそれまでの大岡越前像を良しとしなかったのか、政治家でも大岡政談でもない人間としての内面を描くことにチャレンジしていました。

なにせ冒頭から大岡越前が家出をしてチンピラとしての生活を送っているのですから。その暮しの中で兄との比較や自堕落な暮らしをしている自分への反省、そして恋愛など。彼の人間としての成長を描いています。

そのくだりは長く、読むものによっては、なんだこれは?と疑問を抱いてしまい読むのを辞めてしまうかもしれません。しかし後半には奉行となった大岡越前の姿が描かれ、そのなかで過去の自分を向き合うことになる事件を自ら裁く展開となっており、満足感に繋がっています。

いい意味でそれまでの固定観念が通じ無い作品で読後感としては悪くありませんでした。

 

前のブログの時に出した歴史クイズの答え
5代

魏王朝曹丕曹叡(曹丕の嫡男)、曹芳(曹叡の養子。曹丕の弟曹彰の孫とされる)、曹髦(曹丕の孫の一人)、曹奐(曹操の孫)と5代で滅亡した。